おとはきまぐれ

おとはきまぐれ

いつも遊びに来てくださるお客様からご縁を頂き
愛車「かめむし号」(色がかめむし色だから)に楽器をつっこんで阿蘇へ

景色が変わる 人が変わる 匂いが変わる
変わらないのはかめむし号のエグい色だけ

阿蘇大橋を越えて、演奏させていただくcafe bois joliさんへ
1時間ほど早く到着したため、散歩したりキッチンでタバコを吸ったりして過ごす
明らかに時間の流れが違う
スタッフの皆さんの優しい会話を聴きながら、コーヒーをいただく

夕日が山に隠れる前にリハーサル
木造手作りの店内は天井が高く、反響がいい感じだ
持込みの、質屋のウラから拾ってきたようなサウンドシステムでも
素敵な音に変わる
焦がしバターの薫りの中で歌う
ワンコのムサシ君は私が歌ってる間、窓辺に座って夕日をみている

夕暮れになって、お客さんが集まってくる
はじめてお会いする顔、いつも来てくださる顔
お店は満杯になり、楽しいゆうげが始まった
ここにきてやっと、皆さんが自分の演奏を聴きに来て下さっていることに気づき
やや緊張
今日はディナーの後、tinpeiのバカが2回も演奏する予定
用意していたセットリストは全く雰囲気に合わず、全部変えた

心地よいお皿の触れ合う音を聴きながら
温かいキッチンでまたコーヒーを頂く
向こうで一緒に御飯を頂くのも楽しいだろうが
この心地よい緊張感が生演奏の醍醐味だ

ディナーのころあいをみはからって演奏
皆さん、来られたときより柔らかい顔に
だって明らかにメシうまそうだもんな!
時間に余裕があるため、普段やらない曲もたくさん交えた
歌ってても黙ってても、心地よい夜

気づけば1時間半以上の演奏とアンコール
私のしょうもない歌で涙してくれている方がたくさんいる
練習のとき、自分で歌って自分で泣いて
俺はちょっと頭がおかしいんじゃないかと思ってた時期があったが
今回ばかりは自分が大切な感情表現の一つを忘れつつあることを
お客さんから教えてもらったと強く感じた
ただただ皆さんに感謝
今日は皮肉の一つもでない

今回の演奏は、私の演奏はあんまし関係ないと思う
スタッフの皆さんと、お客様と、土地の空気が素敵な時間を作った
でも、そんな時間を作るきっかけになれることは
私もうれしい
ギターもきっと嬉しいと思う 何だかいい音してたし

おとはきまぐれ
翻弄されるtinpei
またこんな日があるかぎり
歌は終わらないわぁ

                            photo by racicuさん


[戻る]